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糖尿病網膜症

糖尿病網膜症の検査診断

糖尿病眼底検査

糖尿病眼底検査は、糖尿病患者の網膜状態を評価するための重要な検査です。この検査では、網膜の血管や組織の変化を観察し、糖尿病網膜症の早期発見や進行状況の確認を行います。

検査の目的

  • 糖尿病網膜症の早期発見
  • 網膜の血管異常(毛細血管瘤、血管新生、出血斑など)の確認
  • 糖尿病合併症の進行状況の評価

超広角走査レーザー検眼鏡「OPTOS」

OPTOSは超広角走査レーザー検眼鏡の一種で、従来の眼底カメラと比較して多くの利点を持つ最新の眼科診断機器です。眼底の約80%を1ショットで撮影可能な画角200°の超広角画像が特徴です。

散瞳が不要で短時間撮影が可能なため、患者さんの負担を軽減しながら網膜疾患の早期発見に役立ちます。

従来の検査に負担を感じていた方は、ぜひ当院の糖尿病眼底検査をご利用ください。

糖尿病網膜症とはどんな病気?

糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症として発症する眼の病気で、網膜(目の後部にある光を感知する組織)の血管が障害されることで視力が低下する疾患です。

糖尿病による高血糖状態が持続すると、細い血管がダメージを受け、出血や浮腫(むくみ)が発生し、網膜の機能が低下します。進行すると失明に至ることもあるため、早期発見と適切な管理が重要です。

糖尿病網膜症の種類

糖尿病網膜症は、その進行度に応じて以下の3つの段階に分類されます。

単純糖尿病網膜症(背景網膜症)

初期段階の糖尿病網膜症で、網膜の血管が膨らんだり、小さな出血が起きたりします。この段階では視力にほとんど影響がなく、自覚症状もありません。しかし、適切な管理を行わないと進行する可能性があります。

増殖前糖尿病網膜症

網膜の血流が悪くなることで、酸素不足が生じる段階です。この結果、網膜に異常な血管が形成されやすくなります。出血や浮腫が進行し、視力低下が起こることがあります。

増殖糖尿病網膜症

最も進行した段階で、網膜に新生血管が形成されます。これらの新生血管は非常に脆く、容易に出血するため、硝子体出血や網膜剥離を引き起こし、深刻な視力低下や失明に至ることがあります。

糖尿病黄斑浮腫

糖尿病網膜症の進行に伴って、黄斑部(視力に重要な部分)に液体が漏れ出し、浮腫が生じることがあります。これを糖尿病黄斑浮腫と呼び、視力がぼやける、中心部が歪むなどの症状が現れます。

糖尿病網膜症の症状

糖尿病網膜症の初期段階では自覚症状がほとんどありません。症状が現れるのは病気が進行してからです。進行段階では、以下のような症状が現れます。

  • 視力低下
  • 視野の一部が見えない
  • 視界に浮遊物が見える(飛蚊症)
  • 視界が歪む
  • 暗い場所での視力低下

糖尿病網膜症の原因

高血糖状態

糖尿病網膜症の主な原因は、高血糖状態が長期間続くことです。高血糖が持続すると、血管内皮細胞が障害され、血管の透過性が増し、血液成分が漏れ出します。これが網膜の浮腫や出血を引き起こし、網膜の機能を低下させます。

2型糖尿病

2型糖尿病は、最も一般的な糖尿病の形態で、血糖値を調節するインスリンの作用不足により引き起こされる慢性疾患です。1型糖尿病および2型糖尿病のいずれも糖尿病網膜症を引き起こす可能性がありますが、2型糖尿病の方が発症リスクが高いです。特に、糖尿病の発症後数年間は網膜症のリスクが高まります。

高血圧

高血圧は、網膜の血管に追加の負担をかけ、糖尿病網膜症の進行を促進する要因です。高血圧の管理は、糖尿病網膜症の予防と治療において重要な役割を果たします。

血脂異常

高コレステロールや高トリグリセリドなどの血脂異常も、網膜の血管にダメージを与え、糖尿病網膜症のリスクを高めます。健康診断で引っかかった方は注意が必要です。

喫煙

喫煙は、血管に悪影響を与え、糖尿病網膜症の進行を促進します。禁煙は糖尿病網膜症の予防と治療において非常に重要です。

糖尿病網膜症の治療

糖尿病網膜症の治療は、病期や症状の程度に応じて異なります。

血糖コントロール

最も基本的かつ重要な治療法は、血糖値の適切な管理です。血糖値をコントロールすることで、糖尿病網膜症の進行を遅らせることができます。

レーザー治療

網膜にレーザーを照射して、異常な血管を焼灼する治療法です。これにより、新生血管の成長を抑制し、出血や浮腫を防ぐことができます。

当院では、レーザー治療(網膜光凝固術)による網膜病網膜症の日帰り手術を行っています。

レーザー治療(網膜光凝固術)

抗VEGF療法

抗VEGF薬を眼内に注射する治療法です。VEGF(血管内皮増殖因子)は、新生血管の成長を促進する物質であり、その作用を抑制することで、網膜の浮腫や出血を防ぎます。

硝子体手術

進行した糖尿病網膜症では、硝子体手術が必要になることがあります。硝子体手術は、網膜から出血や瘢痕組織を取り除く手術です。これにより、視力の改善が期待できます。

硝子体手術

糖尿病網膜症の進行予防

日常生活での注意・心がけること

糖尿病網膜症は、適切な管理と治療によって進行を遅らせることができます。日常生活での健康管理を徹底し、定期的な眼科検診を受けることで、視力を守ることができます。

定期的な眼科検診

糖尿病患者は、定期的な眼科検診を受けることが重要です。早期に糖尿病網膜症を発見し、適切な治療を受けることで、視力の低下を防ぐことができます。一般的には、糖尿病と診断された時点で眼科検診を受け、その後は年に1回の検診が推奨されます。

血糖値の管理

糖尿病網膜症の予防には、血糖値の適切な管理が最も重要です。医師の指導に従い、食事療法や運動療法、薬物療法を継続して行うことが必要です。定期的な血糖値のモニタリングとHbA1cの測定を行い、目標値を維持することを目指しましょう。

血圧とコレステロールの管理

高血圧や血脂異常も糖尿病網膜症のリスクを高めるため、これらの管理も重要です。適切な薬物療法や生活習慣の改善により、血圧とコレステロールを正常範囲に維持することが求められます。

禁煙

喫煙は糖尿病網膜症の進行を促進するため、禁煙が推奨されます。喫煙は血管に悪影響を及ぼし、全身の健康にも悪影響を与えるため、禁煙は糖尿病管理の一環として重要です。

栄養バランスの良い食事

バランスの取れた食事を心がけ、栄養素を十分に摂取することが大切です。特に、抗酸化物質やオメガ3脂肪酸を含む食品は、眼の健康を保つのに役立ちます。緑黄色野菜や魚、ナッツ類を積極的に摂取しましょう。

適度な運動

適度な運動は、血糖値のコントロールに役立ちます。ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を日常生活に取り入れることで、血糖値を安定させることができます。

ストレス管理

ストレスは血糖値を上昇させる原因となるため、ストレス管理も重要です。リラックスできる時間を作り、趣味や運動、瞑想などを通じてストレスを軽減する方法を見つけましょう。

アルコールの摂取制限

アルコールの過剰摂取は、血糖値のコントロールを難しくするため、適量を守ることが重要です。医師の指導に従い、適度な量に抑えるよう心がけましょう。